スペシャル大河ドラマ「坂の上の雲」絶賛放映中でございます。
伊予松山出身の「日本騎兵の父」秋山好古、「バルチック艦隊をパーフェクトゲームで打ち破った天才海軍参謀」秋山真之、真之の友人でもある「近代俳句の祖」正岡子規の3人が主人公の、司馬遼太郎先生の同名ベストセラー小説の映像化。
そうでなくとも、ただひたすら感動の物語である上に、見ている場所が舞台の松山ときてはもうたまりません。毎週テレビの前で釘づけになって応援しております。
若きエリートたちの崇高な使命感、庶民の国家に対する信頼そして献身、それにこたえる指導者の英知と胆力…全て現代では見られなくなったものばかりゆえについつい漏れてしまうこの一言「明治のひとは偉かった」
いやぁー、NHKに受信料払っていてよかった。ホントNHK素晴らしい、よくやった、とほとんど満足なのですが…ちょっと1ヶ所気になる点がございまして、それは…
「なんで秋山好古がフサフサなんだ」
ということでございます。
秋山好古閣下は、確か30代にフランス留学した折、チフスを患い高熱が続き生死をさまよって髪がごっそり抜けてしまい、終生御髪(おぐし)がおありにならなかった。早い話がまぁ、一生つるっぱげであったというのは有名な話で、残された写真も当然そういう写真ばかりですし、司馬氏の小説でもそう書かれております。それなのに、ああ、それなのに、なぜ阿部寛はフサフサのまま閣下の役を演じているのか。しかもこのドラマはかなり時代考証がしっかりしていて、細部までリアルな再現を試みたのがウリであり、かつ画面からもそれが伝わってくるのに、なぜハゲだけは歴史上の事実を捻じ曲げてまで無かったことにするのか。
それはつまり、ヒーローがハゲではまずいということなのか。それともそういう細かいところは気にしないで見てほしいということなのか。でもそんなことを言い出したら今後、視力両目2.0の伊達政宗やリーゼントヘアの一休禅師もありということになるのか、そのへんNHKはどう考えているのか。
これは別に、私がこの小説がドラマ化されるのを聞いたときに「ハゲがヒーローのドラマができるらしいから、その放映をきっかけに世の中のハゲに対する視線が少しは暖かくなるんじゃないか」といったような不純なことを考えたから怒っているのではございません。断じてそうではございません。そうではなく、ただ歴史を愛する者として歴史の改竄が許せない、つまり、なんというか…
まぁ…ただ私が見てもやっぱり主役がハゲではドラマが締まらないとは思いますが。絵面(えづら)として髪があったほうがきれいですよねえ…。なんというか、ハゲってホントせつない。本人にとって自分の容姿が変わる、しかも自分の意思に反して、という思いっきりシリアスな事件なのにモノが髪というだけで笑い者、周囲の同情ゼロ。しかも歴史的事実を変えてまでなかったことにされてしまうのか、と頭部に吹きつける木枯らしの寒さが身に染みる今日この頃でございます。
と、本日は秋山好古閣下の感動的なエピソードを皆様にお伝えしようと思って稿を始めたのに、ついつい愚痴全開で突っ走ってしまいました。よって、秋山閣下のお話は次回申し上げることにして、本日はこれまで。
ご退屈様でした。
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