スタッフブログ

 別に頭がおかしくなって自分のことをちゃんづけで呼び始めたわけではない。
 三ちゃんとは我が家の愛犬、三の愛称である。
 三は7月7日の午前6時に息を引き取った。12歳と2カ月だった。

 三が我が家にやってきたのは、我々夫婦の結婚2ヶ月後だった。

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 ある日、妻の従姉妹から「飼っていたご婦人が亡くなったので、処分されそうになっているコリーがいるのだが、見てみないか」という電話がかかってきた。聞けば4歳だという。もう大人になっているということで少し躊躇したが、我々が断れば「処分」である。何はともあれ駆けつけて、まずは大きさ、姿の優雅さに驚いた。父方も母方もアメリカやイギリスのチャンピオン犬の血筋である。

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 我々などよりよほど毛並みがいい。しかも、性格が温和である。初めて会ったのに威嚇や警戒などゼロである。妻よりよほどおとなしい。
 これならやっていけるかと、我が家に連れてきたのがまるで昨日のことのように思われるが、もう8年前である。

 三という名は前主の命名である。自分が飼う3頭目のコリーという意味だったらしい。ただ、おかげで動物病院で薬などもらうときの氏名欄は「三好三」であり、私は少々きまり悪い思いがした。

 犬は人間の6倍のスピードで年をとる。三は来た時から去る時まで子のない我々夫婦にとって子供であったが、途中から目上の子供になり、年配の子供、最後は老衰で死んだ子供になった。当たり前のことであるが、ひどく不思議な気がする。

 優しい性格だった。一度もうなり声をあげたことがなかった。自分のことを子イヌだと思っていて、散歩のときも大きな犬を見かけるとそばに寄らないようにし、小さな犬を見ると一緒に遊びたがった。

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 死の3か月前から少し毛の色が薄くなってきた。1か月前からは後ろ足が不自由になってきた。ただ、食欲も落ちず元気に散歩もしていた。死の1週間前からは前足も利かなくなってきた。3日前には体を支える力もなくなった。それでも我々夫婦が行くと、苦しそうな息が和らぎ、少し甘えるそぶりを見せた。

 7月6日の午前2時くらいだったか、実家に泊まっていた妻から(三は妻の実家にいた)電話があった。三がどうしても鳴きやまないのだという。私は枕が変わると寝られない性質で、なるべく自宅以外には泊りたくない方なのだが、その時は不思議と「仕方ない、今夜は妻の実家に泊まろう」とすぐに決めた。別に今夜がヤマだとか思ったわけではない。こちらの計算ではもう1月はもつだろうと思っていたくらいだ。

 とりあえず、三のもとに行き、しばらくあやしてやると三は鳴くのをやめ、寝息を立て始めた。午前4時くらいだった。妻はその後、午前5時にもう一度三に起こされたらしいが水を一口やるとまた眠り始めたらしい。

 そして、義母が起きた午前8時にはもう三は息を引き取っていた。

 七夕に逝くなど、優美であった三にふさわしい。天の川の星の一つになって無明に漂う我々夫婦を照らしてくれるつもりなのだろうか。

 三よ、来世でまた会おう。一緒に野原を走ろう(…と言いつつも運動が大嫌いだった三が走ってくれるとも思えないがそれはともかく)。

 と、今回もしんみりした話で誠に申し訳ないが読者の皆様にご報告申し上げて、本日はこれまで。
 御退屈様でした。

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