スタッフブログ

 今日は若干軽いお話など。
 ときどき本を読んでいて絶妙の切り返しというのに出会うことがある。

 例えばこういうのだ。

 「酒を飲んで見苦しい醜態をさらすなど言語道断だ」と怒っているある文化人に対して立川談志氏の放った一言。
 「馬鹿野郎。見苦しく醜態をさらすために飲むのが酒なんだ」

 確かにこう言われると返す言葉が難しい。さすがは参議院議員のとき佐藤内閣の沖縄政務次官を酒でしくじった人である。

 あるいはこういうのもある。

 三木武吉氏といえば香川県高松市が生んだ戦後保守政治の大物政治家である。”宇宙人”鳩山由紀夫氏がよく「ジイサン」と呼ぶ鳩山一郎総理の盟友であり、昭和30年の保守合同の際、「自由党」と「民主党」を合同させて「自由民主党」を結党した立役者である。

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 その三木武吉氏が若き日に衆議院議員総選挙に立候補したとき、立会演説会で大物議員からこう言われた。
 「今回この選挙区から出馬しているある無名議員は、家賃2年分、米屋に1年分の支払いを溜めている。このような者が立候補すること自体が非常に問題である」
 これに対し、三木は慌てず騒がず、「先ほどある有名議員が無名議員とおっしゃったのは不肖、この三木武吉のことであります。三木は貧乏ですから借金はありますが、先ほどの数字に誤りがありましたのでここで訂正しておきます。正しくは、家賃3年、米屋に2年であります。ただし、私がそこいらのごろつきと違うことは、 現に今日、この演説会場にその米屋さんと大家さんがいらっしゃっていることであります 」
 ここで大家と米屋が立ち上がって一礼すると、会場は拍手と爆笑に包まれ、「エライぞ、借金王」と野次が飛んだという。

 スケールは違うが私の友人にもエライ人がいる。東京で役者をやっているW君。皆様もご存知かもしれないが役者というのは貧乏自慢に事欠かない人が多く、なかなか生活は大変らしいが、若い時W君はいつ見ても同じ、なんというか海藻のようになったジャージを着ていた。
 ある時、別の友人O君が服装についてW君に尋ねた時の答え。
 「おれたち役者っていうのはさあ、舞台の上でいつも華やかな衣装を着ているから、普段の服装は全く気にならないんだよね。役者の生理かなあ」
 立て板に水のようなスラスラ淀みのない答えを聞き、一同「成程そんなもんか」と思わず納得、単純な私などは真っ先にうなづいたものだった。ただし、帰りの電車の中でのO君の言葉を聞くまでは…
「でもさあ、役者がみんな普段あんな恰好をしないといけないのなら誰も役者になんかならないと思う」

 いずれにせよ、世の中にはエライ人がいる。常にピンチをチャンスに変えられる人。そんな人たちと間違っても口喧嘩などしてはいけない。下手をするとこちらが正しいことを言っているのに満座の中で赤っ恥をかかされることになりかねない。

 そんな人たちを見るたび、私はいかに自分が善良で、天使のように無垢な心をもっていることかと感慨にふけるのである。

 といったあたりで本日はこれまで。
 御退屈様でした。

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