時が経つのは速いもので、激動の本年もついに9月に突入であります。
暦の上ではもう秋。
”勉学の秋来たる!来たれ新入生!!”「当塾もまだ定員に若干の余裕がございます。皆様、お申し込みはお早めにお願いいたします」と林家こん平さんのようなご挨拶を申し上げたところで、皆様いかがお過ごしでしょうか。
秋といえばわれわれ塾業界においてもいよいよ正念場。
東日本大震災の思わぬ余波で苦戦を強いられた上半期の挽回を果たさなければなりません。
そこで、今回は入塾率を大きく左右する合格実績をめぐる悲喜こもごもについてお話し申し上げましょう。
大学受験の塾で最も大切とされているものの1つが東大・京大の合格者数です。「この校舎から東大に○名、京大に○名合格しました」の垂れ幕を出すと出さないでは、ずいぶん入塾者の数が変わってくるといわれています。
そしてこれは、われわれ業界内部の人間から見てもやむを得んかなぁと思います。だって、保護者様は塾を見分ける物差しをほとんど持ってらっしゃらない。
「講師の人柄」とかいったところで、直接講師と保護者様がお目に掛かるのは年に1、2回程度。とてもじゃありませんが人柄なんて伝わりません。
「カリキュラムのよさ」とかいっても、直接授業を受けるわけではない保護者様からは、も一つはっきりしない。
とどのつまりが、「その講師は今までに何人、東大・京大に合格させたことがあるのか」で講師の実力を計ろうとする、これはもぅむべなるかなと、言わざるを得ません。
ただ、塾の側から言わせて頂くと、この東大・京大を受ける気のある、そして、頑張ったら受かる可能性のある生徒さん、つまりまぁ、私も今までに何人か拝見いたしましたが、賢い上に勤勉で素直、そして謙虚、という伸びる要素をすべて併せ持っていらっしゃるような生徒さんとはなかなか巡り合えない。ご賢察のとおり、そういう生徒さんは講師の言うことをすべて信じて出し惜しみせず努力をしたりするわけですよ。そりゃぁ最高学府でも受かりますって。
でもまぁ、そんな生徒さんを待ち続けたところで、いわば「株を守る」のきこりと同じ。いつまで待っても一人も来ないかもしれません。
そこで、まず誰でも思いつくのが「受かったことにする」こと。
原始的な方法ではありますが、かなり効果的な方法でもあります。
以前、勤めていた塾で合格実績をホームページに載せようという話になった時、上司が真っ先に言ったセリフが「東大合格者2名」
「えっと、私知らなかったんですが、ここって東大合格者いたんですか?」
「いや、まぁ、昔の教え子で東大に受かった子がいるから…」
「それって、ここと何か関係あるんですか?」
「いや、まぁ、でも、まるっきり嘘でもないし…」
結局、「東大合格者2名」はホームページにアップされました。
また、別の塾のホームページで、それまで全く見たことがなかった東大合格者が「数年前に出ていた」という合格実績の修正を見たこともあります。
なぜ、数年間秘密にしていたかは謎です。まさか、何年も前だと当時の事情を知っている生徒がいないから大丈夫と思ったわけではないとは思うのですが…(ちなみに、その塾はしばらくしてその東大合格実績を削除しました。なぜかはわかりません)。
とまぁ、こんな具合に各塾・予備校が血道を上げる東大・京大の合格者数ですが、一応これについて規定した法律もございます。
ですが、長くなってまいりましたので、続きは次回申しあげることにして本日はこれまで。
御退屈様でした。
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